■スポーツ4WDにはじめて乗る方に FOR
BIGINNERS
(15.AUG,99 UP)(3.OCT.01 Refine)
はじめに
今やかなり安く買えるようになってきたレガシィ等の第1世代のハイパワースポーツ4WDですが、安く買えるからと言って維持費も安いとはいえません。一ついえる事はフルタイム4WD+ターボという複雑なメカを用い、それだけでも壊れる要因が多い上にターボの高熱とハイパワー+4WDの高いトラクションで駆動系その他にかなりの負担をかけています。古くなればなおさらトラブルを抱える可能性は高くなります。トラブルが発生すれば複雑なメカゆえに整備性が悪くやっかいです。ディーラーを頼ってもなかなかトラブルの原因が判らなかったり、思いっきりASSY交換されて膨大な金額を提示されたりします。
実はある程度はお金がある人(というか時代遅れの国産車に数十万の修理代を平気で出せる人)、あるいは自分でかなりの整備が出来る人 じゃないと維持するのは難しいクルマなんですよね。
ここでは整備の話は置いといて、その前に取り扱い、運転の仕方に注意してトラブルの発生する可能性をなるべく少なくしてやったり消耗品の寿命を延ばしてやろうという話をします。スポーツ4WDターボゆえに気を付けて取り扱うべきこと色々があります。
もちろんその他のクルマでも同じようにすればより良いコンディションを保てるでしょう。
1.暖気運転(あたり前ですが)
停止状態で何分もやる必要はないですが、オイルがエンジン各部に行き渡り安定した循環を始めるまでは数十秒はかかるはずです。前回の走行から時間が経っているほど、また気温が低いほど長めに暖機してあげるべきです。
走り出しても最初はゆっくりと、アクセルをあまり踏み込まないように走りながら、エンジンだけでなくミッションやデフのウオーミングアップをします。いきなり全開なんかするとターボのフローティングベアリング部が焼き付きを起こす可能性があります。
その日のファーストスタートではない場合でもエンジンをかけて走り出すまでに一呼吸は間をおいたほうが良いと思います。
ちなみに停止状態で暖気してもミッションは全然暖まらないという説がありますが、ギアはニュートラル状態でもクラッチを繋いであればあれば各変速のギアは回転していて、ある程度オイルをかき上げているはずです。ですからエンジンの熱も伝わってきますし全然暖まらないという事はないと思います。
2.発進
クラッチの負担を減らす為、半クラッチの時間は最小限にします。
クラッチを繋ぐとき、半クラで一旦足を止めるのではなくクラッチペダルをスーッとリリースし、それに反比例するようにアクセルペダルをジワッと踏み込んでやると良いと思います。タイミングが少々難しいかも知れませんが上手くタイミングを合わせれば半クラッチがほとんどないメタルクラッチでもこれで行けます。
車庫入れの時など極ゆっくり動かしたいときはちょっとの間だけ繋いで後は惰性で動かすようにします。半クラのままズルズル動かすなんていうのはダメです。
2WDのクルマは高いエンジン回転数でクラッチを繋ぐと、多少なりともタイヤが滑ってホイールスピンするのでクラッチにそれほど大きな負担はかかりませんが、4WDはトラクションが高いのでそう簡単にホイールスピンしません。従って高い回転で半クラッチを長く使うと大きな負担がかかったままクラッチディスクが滑ることになり、摩擦でクラッチディスクのフェーシング(摩擦材部)が焼けてしまいます。一度限界を超えて焼けてしまうとフェーシングが変質してしまうらしくクラッチの繋がるフィーリングが悪くなったり、ひどいときにはクラッチの滑りが発生してしまうようです。
基本的にシグナルグランプリのような無意味なことはしないことです。
では競技の場合などで急発進したいという場合はどうしているのでしょうか?
それには思い切った高回転でドンッと一気にクラッチを繋ぎ、無理矢理ホイールスピンさせるのです。そういう使い方には強化クラッチが適しています。(ノーマルだとクラッチのほうが滑ってしまう可能性高し)クラッチが熱を持つ前に繋がるので下手な半クラ使うより問題が少ないです。メタルクラッチが一番ガツンと繋がりますけど半クラが全く無くなって実用性は最悪です。こういう使い方はミッションのギア(+駆動系全般)にはかなり大きな負担がかかりますので(最悪はギアの歯が欠ける等)そのつもりで。逆に言うとそんな使い方はしないのでしたら(エンジンパワーを超強力にチューンしてない限り)強化クラッチはまず必要ないでしょう。
3.ギアチェンジ
某イニDなんか読んでるとついつい早いシフトワークに憧れそうになっちゃいます。でも競技やバトル?のここぞという勝負時でない限りギアチェンジでコンマ1秒や2秒稼いだところで何になります?ギーと言わせる度に確実にミッションのシンクロの歯が痛んでいくのです。4WDのミッションのオーバーホールはお金がかかります。なにより回転を合わせてスッと無理なくシフトすることに集中したほうが得ですよね。
ローからセカンドにシフトアップする場合は一旦ニュートラルに入れてからセカンドに入れ直す(確実に一呼吸おけます)か、ロー、セカンドの中間で意識的に動きを止め、軽い力でセカンドにスッと入るのを待つようにします。他のシフトアップも同様に軽い力でスッとシフトレバーが入るのを待つようにします。特にスバルの5速ミッションはスイッチのような操作は避けていたわる操作を心がけて下さい。
シフトダウンは是非ダブルクラッチをマスターして下さい。ニュートラルで一旦クラッチを繋ぎアクセルをあおることによってミッション内部のメインシャフトの回転数をこれから入れようとするギアの回転と合わせてシンクロの負担を軽くします。確実にスッとシフトレバーが入るようになるので、かえって素早いシフトダウンができると思います。
(ローにシフトダウンするのはかなり回転を上げる必要があるのでちょっと難しいですが。私もローにシフトダウンするのはあんまり上手くないです)
最初はタイミング取れないかも知れませんが慣れると手足が勝手に動くようになります。ヒール&トゥより習得の優先順位は高いと思います。
コツとしては2つの動作に分けて考えると良いでしょう。
- まずニュートラルに入れる。(当然クラッチを踏んでニュートラルに入れてクラッチを離す。)
- アクセルをあおりながら再びクラッチを踏み(クラッチは深く踏み込まないと切れないのでアクセルを踏み込むのと同時でよい)、シフトしてクラッチをフワッと離す。
1と2、それぞれ別個に練習して手足に動きを覚えさせ、慣れてきたら1,2を連続して操作すれば出来上がり?です。
※補足(13.FEB.01UP)
アクセルの踏み込み量で回転をピッタリ合わせるのは難しいので、一旦上げた回転がちょうど良いところまでドロップした時にクラッチをつなぐような感じです。
4.アフターアイドリング
言うまでもないかも知れませんがターボを効かせるような運転をするとターボチャージャーはかなりの高温になります。夜間、ハードな走行をしてすぐボンネットを開けて見るとターボチャージャー全体が赤く光ってるほどです。
タービンの軸受け(フローティングベアリング)はエンジンオイルが循環する事によって冷却されていますがターボを効かせるような運転をしてすぐにエンジンを止めるとオイルの循環が止まってしまい、高熱になって焼き付きを起こす恐れがあります。ターボ車はアフターアイドリングが必要と言われるゆえんです。
ですが普段はそれほど神経質になる必要はないし、ターボタイマーも無くても構いません。町中でそんなにエンジンぶん回す必要ないですし、山道を駆け上ってすぐにエンジンを止めてクルマから離れるというシチュエーションもあまりないでしょうから。
気を付けるべきなのは高速道路で、特別飛ばしていなくても上り坂では意外にターボが効いてることがあり、上り坂途中や直後のサービスエリアに入ったときにはすぐにはエンジン止めないほうが良いです。そのようなサービスエリアで先にガソリンを給油する場合はちょっと注意したほうが良いかも。
5.アクセルワーク (29.OCT.99UP)
このページの本来の趣旨からは少し外れますが、普段のアクセルワークについても少々。
AT、MTに関わらず、よくあるのがラフなアクセルワーク。発進時にガッと踏み込んで少し遅れて急加速が始まるとパッとアクセルオフしてまたアクセルON。クルマの流れに乗ってほぼ一定の速度で走っていても、ぶ〜んと加速してはアクセルオフ(全閉)、ぶ〜んと加速してはアクセルオフの繰り返し。これでは同乗する人間はたまったものではありません。その度に前後に揺すられて落ち着かない事この上無しです。あなたの運転はそんなことないですか?同乗者に聞いてみて下さい。
アクセルのON/OFFではなく、もっとペダルの踏み込み加減に神経を使ってスロットル開度によって微妙にコントロールしてやれば、フワッとスタートして、速度が乗ったら一定の回転数のまま走れるはずです。腫れ物に触るような感じと言いましょうか。もちろん道路の勾配等に合わせて微妙にアクセル開度を調節してやる必要はあります。
こうしてスムーズに走らせてやったほうが乗員が快適なのはもちろん、燃費もよくなるし、わずかな差ですがクルマの各部の寿命も長くなると思います。
微妙なアクセルワークにはやはり底の薄い靴が望ましいです。もし、底の薄い靴を使って全神経をアクセルワークに集中しても一定の速度で走れないとか、ギクシャクするようであればクルマの方に問題があるのかもしれません。
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いかがだったでしょうか?もうやってる?それでは楽しいスポーツ4WDライフを!
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