前後LSDを入れよう!!
■スポーツ4WDの一歩進んだスポーツ走行とチューン(14.JAN.01UP)
はじめに
以前からファインチューンガイドの頁でクルマをドライバーの感覚にフィットさせる基本的チューニングを紹介してきました。
ここではそこから一歩進んだスポーツ4WDならではのスポーツ走行とそれを楽しむためのチューンです。まぁ競技レベルでは全然たいしたことないレベルの私が言うことですからそのつもりで読んで下さい。ただ、全日本クラスのドライバーのドライビング、チューニング解説ってハイレベル過ぎて一般人の感覚からかけ離れがち(失礼)ですから、私くらいのレベルの解説もそれなりに意味あるんじゃないかと思って書いています。
4WD究極の走り
スポーツ4WDならではのスポーツ走行の醍醐味は、ほとんど路面を選ばずにアクセル全開!の安定した速い四輪ドリフトコーナリングにあると私は思っています。
究極的にはWRCのトップドライバー達の速くて熱い走りです。コーナー手前から何とかして大きく向きを変え、コーナー入り口あたりからもう(ほぼ)アクセル全開なのです。FRのように踏みすぎるとスピンするのをギリギリでコントロールするようなものではありません。
ライン取りを基準に考えるとオーバーステアのドリフトですがクルマの向きを基準に考えるとアウトに流されるアンダーステア状態です。タイムを縮めるために可能な限りアクセル全開時間を長くとる走りとセッティングなのです。
フロントもリアも強力にトラクションかかっているからこそダートでも雪上でもあのような走りが出来るのです。
トラクション→LSD
そのような走りの醍醐味を(まぁ出来る範囲で)味わう為にどうしても必要なのがフロントとリアの機械式LSDです。
御存知のようにフルタイム4WD車では前後左右回転差によるタイトコーナーブレーキング現象を防ぐためにフロント、センター、リアの三つのデファレンシャルギアがついています。(センターデフの替わりにクラッチ機構などがついているものもある)しかし1輪でも空転してしまうと残り3輪への駆動力は無くなってしまいます。
それでは加重移動が激しいスポーツ走行では駆動力が逃げてしまってせっかくの4WDのメリットがろくに生かせない事になってしまいます。
そこでフロントとリアに機械式LSDを組み込むと、まずフロントLSDにより前輪に強力なトラクションがかかり、アクセルONでとにかくステアリングを切った方にぐいぐいフロントが引っ張られるようになります。
ステアリングを切ったまま思い切りアクセルを開けていくとリアが(リアLSDにより)軽くスライドして旋回を助け、フロントは弱アンダーといった安定した4輪ドリフトの動きになります。
車体が安定した状態からだとリアが流れ出すまでにしばらく時間がかかりますので、コーナー侵入で思いきった加重移動(フェイントなど)やブレーキングドリフトでリアを振り出すような感じにして、そこからぐっとアクセルONで四輪ドリフトに持ち込みます。そうすると低ミュー路でもバンバン曲がれますし、舗装路では自分でも驚くほどのスピードでコーナーを曲がれたりします。
リアが流れすぎてもアクセルONで立て直すことができるようにもなります。(注:リアの流れが止まる前に素早くカウンターを戻すこと)
こういう走りが出来るとホント楽しいですよ〜。
フロントLSDは組み込みにミッションを降ろしてケースを開けなくてはならず、工賃がかかるので後回しにされがちなんですがこれもほとんど必須なわけです。フロントが空転してトラクション抜けたらリアのLSDもあまり意味無いですから。
インプレッサWRXやランエボなら何にもしなくても充分過ぎるほどパワーはあるし最近のモノは足周りも結構ハードですから基本的な事が出来てたら(クルマも運転もね)、パワーアップや高価な車高調、その他あってもなくてもさして変わらんようなチューニングに走るより先に前後LSD入れた方が絶対楽しいと思うんですけどね。私は。前後LSD装備でこそスポーツ4WDだと思うんです。
ただしLSD装着にはデメリットもあります。
- コーナー侵入時、多少曲がりにくくなる
- トルクステアが出る(セルフアライニングトルクが大きくなる)
- 低速で極小回りするような時、ガクガクする。(バキバキ音が出る場合もある)
- ミッション、デフオイルにLSD用オイルが必要で頻繁に交換しなくてはいけない
(私の場合ミッションオイル約4500km毎)
- 1〜2年でLSDのO/Hをしなくてはその性能を維持できない
(と言われるが、ウチのクルマは4〜5年O/Hしてないが大丈夫だ!?)
などがあります。
でもアクセル全開でクルマをコントロールする実感を味わいたい方には絶対お勧めですよ。
トレーニング?
このような走りの練習にはダートが一番いいのですが、クルマ痛みますからねぇ。ミニサーキット走行会やジムカーナ練習会などに積極的に参加して限界特性をつかんで下さい。プレステのコリンマクレー・ザ・ラリー2も挙動が本当にリアルですからきっと練習になると思います。何よりいくら失敗してもお金がかからないのがいいね。(^^;)
あと、舗装路でラリータイヤっていうのが意外にいいんですよ。浮き砂利及びウェット用のラリータイヤはヨレヨレなのでダメですが、硬質路面用のラリータイヤの山がある程度減ったやつが実は結構グリップいいんです。特にソフトコンパウンドタイプね。(同じパターンでコンパウンドがハード・ソフト2種類あったりします)
初めは「こんなにグリップするのか」と驚くと思いますよ。扁平率65が一般的でタイヤのハイトがかなりあるのでステアリングの反応は鈍いですが、荷重をかけたときのたわみ量が大きく、挙動変化を起こし易いんです。慣れてくるとドリフトに持ち込みやすく、そのコントロール性も高い。これは面白いです。一般ストリートスポーティタイヤではリアを流すというほど流すのは
なかなか難しいものです。
ちなみにラリータイヤはパターンノイズが超ウルサイ、タイヤが重い、価格は比較的安いといった特長もあります。
走りのヒント集(19.JAN.01UP)
- 御存知のようにタイヤは(限度はありますが)荷重をかけた方がグリップレベルが高くなります。
ターンインの時にはフロント荷重に!とはよく言われますが、そういう前後方向の加重移動だけでなく左右方向の加重移動もよく考えてみましょう。その為にステアリングを切る速さはどうすべきでしょうか?
- (2.FEB.01UP)
「アンダーステアが出た!」とか、「オーバースピードで曲がりきれそうもない!!」時はコーナリング中でも即、ブレーキを踏めるよう心構えしときましょう。チョンと短いブレーキを踏む(通称チョンブレ)だけでもフロント荷重になって曲がれることが多いと思います。
「完全にオーバースピード!」でパニック的ブレーキの時は踏みすぎブレーキロックに注意。「あーもうぶつかるーっ!」となってきたら思いきってブレーキを離すと曲がれるかもしれません。
特に雪道では下り急勾配コーナー手前などいとも簡単にブレーキロックするのでブレーキを離す勇気が必要です。ちなみにメーターのワーニングランプがいっせいにパッと点ったらそれは完全に四輪ロック→エンストしてるってことです。わかりやすいですね。すみやかにブレーキを緩めましょう。(^_^;)
積極的には減速の為、というよりフロント荷重にして確実に向きを変えるためにチョンブレをよく使います。ラリーで使われるような路面の凹凸、勾配、うねりの激しいところではかなり必要なテクニックです。
チューニングのヒント(26.MAR.01UP)
- 走るステージが舗装路メインの場合、フロントLSDの効き、イニシャルトルク共にあまり強くしないのが一般的です。といっても前後またはセンターも含めLSDのセッティングは1WAY,2WAY、効き、イニシャルトルクなどいろいろな組み合わせが考えられます。好みもありますし、なかなか難しいものがあります。
LSDのおよそのイニシャルトルクを車載状態で知るにはギアニュートラルで1輪だけジャッキアップしてタイヤを回すのに必要な力(ハブナットにトルクレンチをかます等して計る)で知ることが出来ます。
- コーナリングの限界を高くするためにネガティブキャンバーを多めにつけます。(特にフロント)
ストラットアッパー及びナックル接合部のガタをネガキャンが目一杯つくように押さえながらボルトを締めて固定するとノーマルの調整範囲でもかなり多めの(目で見て判るほどの)ネガキャンをつけることが出来ます。でも左右でバランスを取らないとまっすぐ走らなくなりますョ。トーも要チェック…。
(走りのヒント続編、チューニングのヒント続編 へつづく、かな?)
このページを読み、内容に沿ったセッティングや運転にトライして事故、トラブル等を起こしても、
当方は一切責任を持てませんのであしからず御了解下さい。
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